時効 |
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内容証明作成に関して、時効について問題になるときがあります。 時効期間とは、債権が成立した時や、返済期限が到来した時から時効成立するまでの期間のことです。通常、債権は返済期限を決めておきますが、その場合はその期限が到来した時から時効が進行します。 一方、返済期限をあいまいにすることがありますが、その場合は債権の成立した時から時効が進行していることになります。債権の種類によって時効成立までの期間が異なりますので、まず何の債権債務なのかを下記の時効期間一覧表にて探してみてください。
※参考資料(刑事事件の時効)
時効の援用 時効の援用とは、時効が成立するためには一定の期間が経過して、その利益を受ける人が「時効の利益を受ける」という意思表示を示すことです。 時効は期間が経過しさえすればもう請求されることがなくなるのではなく、時効の援用をしてはじめて権利義務関係が確定します。正確には時効 の援用によって裁判所は時効の利益を受けることを認めてくれるということです(民法145条)。 逆に、時効になってしまっても相手が主張しなければ請求できますから、内容証明で相手に債務を承認させてしまえば、時効は成立しないのです。 時効の援用については内容証明が効果的です。 いつ時効の援用の意思表示をしたのかが重要なポイントになるからです。 時効の放棄 時効の放棄とは「時効が完成しても主張しません 」などといった意思表示をすることです。相手が時効を放棄してきたら、相手の気分を害さ ないよう気を付けつつ再度借用書など書面を取り交わしておくべきでしょう。 債権者が債務者に対し、事前に時効の利益を放棄するよう認めさせることを防ぐ為、法律で「時効の放棄」を時効完成前に事前に時効利益を放棄することを禁止しています(民法146条)。 ちなみに、契約書で「時効は援用しません。放棄します。」などという条文が入っていても、それは無効となります。 時効の中断 時効の中断とは、それまで経過した時効期間がゼロになる(振り出しに戻る)ことをいいます。いったん中断すると、またゼロからスタートすることになります。 時効の中断をするには債権者が何かアクションを起こすことが必要です。具体的に何をすればよいのかは下記の通りです。時効を中断する手段としては、内容証明が効果的です。 1 請求(民法147条)
ただ単に債務者に「支払え」とか「返せ」といっているだけでは、ここでいう請求ではなく、あくまで裁判上で請求しなければなりません。 例えば飲食代金の時効成立は、1年間です。この間に飲食代の一部を支払うなどしなければ、1年後には時効は成立してしまい、その後は請求する事は出来ないことになります。しかし、364日目に内容証明を出しておけば、そこから6ヶ月間は時効が成立しません。これを時効の停止といいます。そして、その6ヶ月の間に裁判上の手続きを行えば時効を中断する事ができ、時効の期間はまたゼロに戻ります。 つまり「もうすぐ時効になってしまう」というときには、まず内容証明で相手に請求をしておけば、6ヶ月の猶予ができますので、その後、裁判上の請求をすればいいのです。もしかしたら、内容証明だけで相手が支払ってくれるかもしれません。 もちろん裁判で請求を却下されたり、取り下げたりしたら時効は中断しません(民法149条)。 2 差押え、仮差押え、仮処分(民法147条) 裁判所が関与して、債権者が強制的に権利を実現するものです。 3 承認(民法147条) 債務者が債務があることを認めることです。これを債務の承認といいます。一部でも支払ってもらうとか、承諾書を書いてもらうとかすれば、債務の承認になります。そして、一度債務を承認した以上、時効の援用はできなくなります。「良く調べたら時効だったからやっぱり支払わない」と言うことできなくなるのです。 時効期間を大幅に経過していても、簡単にあきらめずに試しに督促してみるという手もあります。上記のような債務の承認があれば、時効はまたゼロからスタートしますので、今後は堂々と請求できます。ただし、いつ誰にどんな内容の文書を送ったのか、また相手から書面で回答をもらい易くするためにも、内容証明で送ることをおすすめします。 以上のように、自分には権利があるからといって、何も行動を起こさないままでいると時効が成立してしまい、貸金や売掛金も回収できないことになりかねません。内容証明のみで時効を中断する事は出来ませんが、いざという時の対処法にはなるかもしれません。 |
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