契約・商取引に関する内容証明 |
契約・商取引 |
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●契約 契約は申込みと承諾という相対する意思表示が合致することによって成立します。売買契約を例にすると、「売る」「買う」という意思表示(申込み)に対して、「買う」「売る」という意思表示(承諾)がなされて売買契約は成立します。 しかし、ここで注意しなければならない事例として送りつけ商法があります。勝手に商品が送られてきても売買契約は成立しませんが、勝手に商品を送りつけ、誤って相手が消費するのを待っている悪質な業者もあります。こういった場合には、一応商品を保管しておき、商品が送付されたときから14日を経過し、あるいは販売業者に引取りの請求をした日から7日を経過すれば、販売業者は商品の返還を請求することができなくなるので、商品を処分してもかまいません(特定商取引法59条)。 ●契約書の重要性 民法の原則によれば、売買契約の成立には、申込みと承諾があればよく、契約書などの書面を作成する必要はありません。しかし、例えば不動産売買など実際の取引では、契約書作成のときに売買契約が成立したとみている例も多いのです。 売買契約の成立が問題になったときは、言った、言わないの水掛け論になってしまうため、契約書がなければ立証が非常に困難になります。訴訟になれば売買契約の成立は、成立を主張する方で立証しなければならず、その不利は否めません。 ●契約書の効力 契約の内容は、強行規定に反しない限り自由に定めることができるのが原則です。契約書には色々な約定が定められていて、なかには、一方の当事者に不利な約定もあります。一般の消費者を対象とする契約は、業者が契約書を用意するのが普通だから、そのような契約では業者に有利な内容となるのは当然です。 一度成立した契約でも、詐欺や強迫によって契約をさせられたものであるとか、錯誤によって契約したものであるなどの事情のある場合には、契約について争う余地が残されています。だまされて契約したのであれば、詐欺による契約として取り消すことができます。おどされて契約したのであれば強迫による契約となり、これも取り消すことができます(民法96条)。また、契約の重要な部分について誤信したのであれば、錯誤によって無効であると主張しうることがあります(民法95条)。 ●売買契約書の作成上の注意点 1 売買の目的物の表示 何が売買の目的か、これが明瞭に表示されていなければ、売買契約書をつくる意味がありません。一般商品なら、商品名、銘柄、種類、品質、その他の特徴をなるべく具体的、正確に明記し、次にその数量を明記し、さらにその単価まで記載しておくのも確実度を高めることになります。 2 引渡しの時期、方法などの記載 いつ商品を引き渡させるか、引渡し場所はどこか、という点を明確に記載する同時に「買主はその商品を受領後、これを検査するものとし、その検査に合格したとき、商品の引渡しがあったものとする」というように、一定の条件をつけておくのも安全、有利な方法です。 3 代金の支払い時期、方法などの記載 代金はいつ、どこで、どのように支払うか、ということは売主にとって何より重要な記載事項です。また、手附や内金の授受のあったときは、それを代金の一部に充当するということ、違約のときは、手附を予定損害金として売主が取得するというようなことも記載しておく必要があります。 4 売主が期日に完全な商品を引き渡さなかったときの規定 この場合、買主としては、契約を解除するか、代金を減額させるか、または損害賠償の請求をするか、この3つの権利を行使できます。そのどれによるかを明確に記載しておくことは、完全な引渡しを確保する上で大切です。 5 買主が代金の支払いを怠ったときの規定 この場合、売主としては、支払い期から年○○%の割合による損害金を加算して支払えとか、代金が完済されるまで商品の所有権は売主側に担保されるものとし、代金の支払いがなければ商品の返還を求めるとか、あらかじめ代物弁済(本来の債務の履行の代わりに別なもので弁済したことにする契約 )の予約をしておくなど、確実な代金回収を確保できるような条項を記載することが必要です。 ●契約締結上の過失 契約締結上の過失とは、誠意をもって正式契約できるように双方努力しようという合意があり、一方の当事者がこれを信頼して様々な調査や準備を行ったのに他方の当事者が正当な理由もなく契約締結を拒否した場合は、正式契約に至らない場合であっても損害賠償の義務を負うという法理のことです。 ただ、この場合の賠償しなければならない損害は信頼利益に限定され、履行利益には及ばないとされています。信頼利益とは契約締結に向けての準備に費やした費用をいいます。履行利益とは契約が履行されたら得られるはずの利益(得べかりし利益)をいいます。わかりやすく言うと、実費なのか儲けなのかということです。 ●請負契約 請負とは、民法で定められた13種類の典型契約のうちの1つです。 請負契約とは、請負人がある仕事を完成することを約束し、注文者がその仕事を完成したら報酬を払うことを約束することによって成立する契約のことです(民法632条)。 よって、請負契約は、他人の労務を利用することを目的とする労務供給契約と言えます。この仕事は有形的なもの(家屋建築など)でも無形的なもの(物品の運搬、脚本執筆など)でもよいのですが、いずれもその仕事が完成されることを契約の内容としています。 請負契約は、双務・諾成・不要式・有償契約に分類されます。不要式契約なので、契約書の作成は契約成立要件とはされていません。契約は原則自由で、口約束でも有効に成立します。 ◇下請負 請負人は、仕事を完成する義務がありますが、それを誰かに請け負わせることもできます。これを「下請負」といいます。この点において雇用・委任と異なります。下請負禁止特約があったり、仕事の性質からいって本人の才能、技能に重点を置く場合は、請負人自身が仕事を行わないといけません。 ◇所有権 完成した物の所有権は、材料供給者が注文者であるか、請負人であるかによって異なります。注文者が材料の全部又は主要部分を供給する場合は、特約がない限り、完成された物の所有権は原始的に注文者に帰属します。 また注文者と請負人が共に材料を供給した場合でも、請負人が主要部分を提供して完成した場合には、特約がない限り、所有権は請負人にあり、引渡しによりはじめて注文者に帰属します。 請負人が全部の材料を提供した時は目的物の引渡しにより、所有権ははじめて注文者に移転します。 ◇瑕疵担保請求権(かしたんぽせいきゅうけん) 仕事の目的物に瑕疵(キズのこと)があるときは、注文者は、相当の期限を定めて修補を請求できますが、軽微な瑕疵で、かつその修補が過分の費用を要する時は認められません(民法634条1項)。 ◇損害賠償請求権 注文者は瑕疵の修補に代えて損害賠償請求できます。また瑕疵の修補と共に損害賠償請求もできます。これらの損害賠償請求権と、請負人の報酬請求権とは同時履行の関係にあり、相殺することも可能です(民法634条2項)。 ◇契約解除権 瑕疵があるため、契約の目的を達することができない場合は、注文者は契約解除することができます。ただし、建物、その他土地の工作物の請負は、瑕疵を理由に解除できません(民法635条)。 担保責任の例外としては、仕事の注文者の提供した材料の性質または与えた指図によって瑕疵が生じたときは、請負人は担保責任は負いません。ただし、請負人が材料・指図が不適当であることを知っていたのに、注文者に告げなかった場合は免責されません(民法636条)。 また請負人は担保責任を負わない旨の特約をすることができます。この場合でも知っていて告げなかった事実については、免責になりません(民法640条)。 担保責任の存続期間は、原則、目的物の引渡から1年です(民法637条1項)。引渡を要しない場合は、仕事の終了時から1年です(民法637条2項)。 その例外として、土地の工作物で非堅固なものや地盤の瑕疵の場合は引渡から5年、土地の工作物で堅固なもの(石造、土造、れんが造、コンクリート造、金属造その他これらに類する構造の工作物)の場合は引渡から10年の担保責任を負うことになります(民法638条1項)。 その他、請負契約に関しては、こちらも参照ください。→請負契約Q&A集 ●危険負担 危険負担とは、双務契約で一方の債務がその債務者の責に帰することのできない事由によって履行できなくなった場合、負担の分担をどうするかについて決めることをいいます。 取引において何らかのリスクが発生した場合、どちらが負担するのかをあらかじめ定めておくことにより、トラブルを防ぐという意味を持っています。 民法の原則は、債務者主義です。これは一方の債務が履行できなくなった場合、他方の債務も消滅するという考えです。しかし、特定物に関する物権の設定または移転を目的とする双務契約では、債権者主義が採用され、一方の債務が消滅しても他方の債務は消滅しないことになっています。 例えば、中古住宅等の不代替物を目的とした契約では、売買の意思の合致があれば、引渡し前に天災によって家屋が滅失した場合でも支払い債務だけが残ることになります。 そこで、現実的には、契約書に危険負担の特約を設け、受渡しの前後で危険負担を区別するなど債権者主義を制限しています。 例えば、不動産の契約などの多くの場合、「甲乙双方の責に帰すべからざる事由に因り当該物件が滅失又は毀損したとき、物件引渡日の前日までは甲の負担とし、物件引渡日以後は乙の負担とする」といった危険負担の条項が明記されています。 ●捨印 捨印とは、作成名義人名の後ろに押印しているものと同じ印鑑で、契約書の欄外に押印することをいいます。 捨印は、将来訂正が必要になったときに訂正することをあらかじめ認めるために行います。将来、契約書を訂正しなければならないような場合、いちいち当事者の訂正印をもらいに行かなくとも訂正できる便利さがあり、慣行として広く認められています。 ほとんどの契約書に捨印を求めていますので、気にすることも無く押印されている方も多いのですが、捨印は、相手に対し「訂正権を合法的に与えますよ」という極めて危険な行為です。 契約内容を不利に変更される危険性もありますので、くれぐれも慎重に捨印は行ってください。相手によっては、毅然とした態度で拒否することも必要です。 ※その他、下記に契約・商取引に関するトラブルの一例を挙げてみました。
その他
※上記は一例であり、実際には様々な事実・利害関係があります。十人十色と言いますが、「私の場合はこうなのだけれど・・・」という場合は、渡辺行政書士事務所にご相談ください。内容証明に限らず、様々な提案をさせていただきます。
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