民法(物権)Q&A集


★ 民法(物権)に関する相談事例などをQ&A形式にして抜粋しています。回答に関しては、根拠条文や判例なども可能な限り掲載しています。民法(物権)に関する相談事例も随時追加していきますので参考にしてください。
Q1 建物を不法に占有している者が増築をした場合における物権的請求権について
Q2 第三者対抗要件を備えた不動産賃借権の賃借人の妨害排除請求権行使について
Q3 共有の土地を不法に占有している第三者に対する土地の明渡し請求について
Q4 動産質権者がその占有を不法に奪われた場合の質権に基づく返還請求について
Q5 不法建物の所有権を取得し、登記をした者に対する建物収去と土地明渡し請求について
Q6 不動産の時効取得について
Q7 代物弁済による所有権移転の時期について
Q8 他人物売買による所有権移転の時期について
Q9 動産の所有権移転の時期について


民法(物権)Q&A集

Q1:建物を不法に占有している者が増築をした場合において、当該増築部分が建物の構成部分となっているときは、建物の所有者は、不法占有者に対し、所有権に基づき増築部分を原状に戻すよう請求することができる?

A1:誤り。
物権的請求権とは、物権の内容の円満な実現が害されたり、又は害される恐れがある場合に、物権を有する者が妨害又はその恐れを生じさせている者に対して、妨害の排除などを請求する権利をいいます。

物権的請求権には、以下の3つの請求権があります。

1.物権的返還請求権
2.物権的妨害排除請求権
3.物権的妨害予防請求権

さて、建物の所有者は、所有権に基づいて、当該建物に不法に何らかの行為をされた場合に、原状に回復するように請求することができます。

しかし、この事例の場合には、当該建物に何らかの行為をしたわけではなく、既存の建物に増築をしたということですので、これは、不動産の付合に該当することになります。

不動産の所有者は、その不動産に従として付合した物の所有権を取得します(民法242条本文)。

よって、当該増築部分は、建物に付合しますので、建物所有者に帰属することになり、当該建物所有者にとっては不利益とはなりませんので、原状回復請求をすることはできません。

Q2:第三者に対抗することができる土地の賃借権を有する者は、その土地上に不法に建物を建ててこれを使用している者に対し、当該賃借権に基づき当該建物の収去及び土地の明渡しを請求することができる?

A2:正しい。
土地の賃借権者は、当該土地の使用収益権を行使できますが、この賃借権は債権であり、物権ではありませんので、物権的請求権である妨害排除請求権の行使が認められるかが問題となります。

判例では、第三者対抗要件を備えた不動産賃借権の賃借人は、目的物である不動産の不法占拠者に対し、物権的請求権である妨害排除請求権を行使して、直接その不動産の明渡しを求めることができるとしています(最判S30.4.5)。

Q3:共有の土地を不法に占有している第三者に対する所有権に基づく土地の明渡し請求は、共有者が、その持分の価格の過半数をもって決するところに従い、共同して行わなければならない?

A3:誤り。
複数の人が所有権を共同して持っていることを共有といいますが、この共有の場合でも、共有物の保存行為については、各自が単独ですることができます(民法252条但書)。

この保存行為とは、その物の現状を維持する行為をいいますが、この事例のように、不法に占有している第三者に対する所有権に基づく土地の明渡し請求というものも、この保存行為の一種といえます。

また判例においても、各共有者は単独で、共有土地を不法に占有している者に対して、持分権に基づき、明渡しを請求することができるとしています。

Q4:動産の質権者は、その占有を不法に奪われた場合であっても、占有の侵奪者に対し、質権に基づき返還請求をすることはできない?

A4:正しい。
動産質権者は、継続して質物を占有しなければ、その質権をもって第三者に対抗することができません(民法352条)。

よって、この事例のように、質物の占有を奪われてしまいますと、質権の対抗力を失ってしまいますので、質権に基づく質物返還請求権は行使できないということになります。

Q5:A所有の土地上に不法に建てられた建物の所有権を取得し、自らの意思に基づきその旨の登記をしたBは、その建物をCに譲渡したとしても、引き続きその登記名義を保有する限り、Aに対し、自己の建物所有権の喪失を主張して建物収去土地明渡しの義務を免れることはできない?

A5:正しい。
土地所有者は、自己所有の土地上に不法に建てられた建物について、土地所有権に基づく物権的請求権を行使して当該建物の収去及び土地明渡しの請求をすることができます。

では、この請求を誰に対してするのかといいますと、通常は土地所有権の侵害者に対してすべきものといえます。

しかし、当該不法建物の所有権を取得し、自らの意思に基づいてその旨の登記をした者は、その後に第三者に建物を譲渡したとしても、引き続き当該建物の登記名義を保有する限りにおいては、土地所有者に対して、建物を譲渡して所有権を喪失したと主張して、建物収去と土地明渡しの義務を免れることはできないと、判例は示しています(最判H6.2.8)。

これは、土地所有権を侵害されている者は、実際に自己の土地を侵害している者を探し出すのは大変であり、また、不法建物の所有者として登記簿上に記載されている者が、譲渡を理由として、当該不法建物の収去・土地明渡し義務を免れるのは、不当であるという考えに基づくものです。

Q6:不動産の時効取得の場合、その登記をした時にその所有権が時効取得者に帰属する?

A6:誤り。
時効の効力は、その起算日にさかのぼります(民法144条)。

よって、不動産の時効取得については、その登記をした時ではなく、当該不動産の占有開始時まで遡って、その所有権が時効取得者に帰属することとなります。

Q7:当事者間で合意した代物弁済の目的物の所有権移転の時期が経過しただけでは、代物弁済の効果は生じない?

A7:正しい。
代物弁済とは、債務者が、債権者の承諾を得て、その負担した給付に代えて他の給付をすることをいいます(民法482条)。

この代物弁済による所有権移転の時期は、特約がない限り、当事者間の代物弁済契約の意思表示によって生じます。

一方、代物弁済の効果(債務の消滅)が生じるのは、この所有権移転の時期の経過ではなく、要物契約としての代物弁済の性質上、他の給付が現実になされたとき、例えば所有権移転や債権譲渡の場合には、第三者に対する関係において対抗要件を具備したとき(最判S39.11.26)になります。

Q8:第三者が所有する物の売買において、他人の物の売買であることが契約において明示されているかどうかにかかわらず、その所有権は売買契約の成立時には買主に移転しない?

A8:正しい。
民法では、他人物売買を認めています。

とはいえ、他人物売買の場合には、契約時にはまだ売主に所有権はありませんし、処分権限も持っていません。

よって、その後、売主が当該売買の目的物の所有権を取得した時に、買主に目的物の所有権が移転することとなります(最判S40.11.19)。

Q9:売買の目的物が動産である場合、その所有権が買主に移転するのは、その引渡しの時である?

A9:誤り。
売買の目的物が動産・不動産のいずれの場合でも、別段の特約がない限り、所有権が買主に移転するのは、売買契約の成立したときになります。(最判S33.6.20)

ちなみに、動産の引渡しは第三者対抗要件となります。

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