会社法

第2編 株式会社 第9章 清算(475条〜574条)

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第1節 総則
第1款 清算の開始
(清算の開始原因)
 475条
1項 株式会社は、次に掲げる場合には、この章の定めるところにより、清算をしなければならない。
 1号 解散した場合(第471条第4号に掲げる事由によって解散した場合及び破産手続開始の決定により解散した場合であって当該破産手続が終了していない場合を除く。)
 2号 設立の無効の訴えに係る請求を認容する判決が確定した場合
 3号 株式移転の無効の訴えに係る請求を認容する判決が確定した場合
(清算株式会社の能力)
 476条
前条の規定により清算をする株式会社(以下「清算株式会社」という。)は、清算の目的の範囲内において、清算が結了するまではなお存続するものとみなす。
第2款 清算株式会社の機関
第1目 株主総会以外の機関の設置
 477条 1項 清算株式会社には、1人又は2人以上の清算人を置かなければならない。
2項 清算株式会社は、定款の定めによって、清算人会、監査役又は監査役会を置くことができる。
3項 監査役会を置く旨の定款の定めがある清算株式会社は、清算人会を置かなければならない。
4項 第475条各号に掲げる場合に該当することとなった時において公開会社又は大会社であった清算株式会社は、監査役を置かなければならない。
5項 第475条各号に掲げる場合に該当することとなった時において委員会設置会社であった清算株式会社であって、前項の規定の適用があるものにおいては、監査委員が監査役となる。
6項 第4章第2節の規定は、清算株式会社については、適用しない。
第2目 清算人の就任及び解任並びに監査役の退任
(清算人の就任)
 478条
1項 次に掲げる者は、清算株式会社の清算人となる。
 1号 取締役(次号又は第3号に掲げる者がある場合を除く。)
 2号 定款で定める者
 3号 株主総会の決議によって選任された者
2項 前項の規定により清算人となる者がないときは、裁判所は、利害関係人の申立てにより、清算人を選任する。
3項 前2項の規定にかかわらず、第471条第6号に掲げる事由によって解散した清算株式会社については、裁判所は、利害関係人若しくは法務大臣の申立てにより又は職権で、清算人を選任する。
4項 第1項及び第2項の規定にかかわらず、第475条第2号又は第3号に掲げる場合に該当することとなった清算株式会社については、裁判所は、利害関係人の申立てにより、清算人を選任する。
5項 第475条各号に掲げる場合に該当することとなった時において委員会設置会社であった清算株式会社における第1項第1号及び第335条第3項の規定の適用については、第1項第1号中「取締役」とあるのは「監査委員以外の取締役」と、第335条第3項中「社外監査役」とあるのは「過去に当該監査役会設置会社又はその子会社の取締役(社外取締役を除く。)、会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員)若しくは執行役又は支配人その他の使用人となったことがないもの」とする。
6項 第330条及び第331条第1項の規定は清算人について、同条第4項の規定は清算人会設置会社(清算人会を置く清算株式会社又はこの法律の規定により清算人会を置かなければならない清算株式会社をいう。以下同じ。)について、それぞれ準用する。この場合において、同項中「取締役は」とあるのは、「清算人は」と読み替えるものとする。
(清算人の解任)
 479条
1項 清算人(前条第2項から第4項までの規定により裁判所が選任したものを除く。)は、いつでも、株主総会の決議によって解任することができる。
2項 重要な事由があるときは、裁判所は、次に掲げる株主の申立てにより、清算人を解任することができる。
 1号 総株主(次に掲げる株主を除く。)の議決権の100分の3(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権を6箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する株主(次に掲げる株主を除く。)
  イ 清算人を解任する旨の議案について議決権を行使することができない株主
  ロ 当該申立てに係る清算人である株主
 2号 発行済株式(次に掲げる株主の有する株式を除く。)の100分の3(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の数の株式を6箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する株主(次に掲げる株主を除く。)
  イ 当該清算株式会社である株主
  ロ 当該申立てに係る清算人である株主
3項 公開会社でない清算株式会社における前項各号の規定の適用については、これらの規定中「6箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する」とあるのは、「有する」とする。
4項 第346条第1項から第3項までの規定は、清算人について準用する。
(監査役の退任)
 480条
1項 清算株式会社の監査役は、当該清算株式会社が次に掲げる定款の変更をした場合には、当該定款の変更の効力が生じた時に退任する。
 1号 監査役を置く旨の定款の定めを廃止する定款の変更
 2号 監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めを廃止する定款の変更
2項 第336条の規定は、清算株式会社の監査役については、適用しない。
第3目 清算人の職務等
(清算人の職務)
 481条
1項 清算人は、次に掲げる職務を行う。
 1号 現務の結了
 2号 債権の取立て及び債務の弁済
 3号 残余財産の分配
(業務の執行)
 482条
1項 清算人は、清算株式会社(清算人会設置会社を除く。以下この条において同じ。)の業務を執行する。
2項 清算人が2人以上ある場合には、清算株式会社の業務は、定款に別段の定めがある場合を除き、清算人の過半数をもって決定する。
3項 前項の場合には、清算人は、次に掲げる事項についての決定を各清算人に委任することができない。
 1号 支配人の選任及び解任
 2号 支店の設置、移転及び廃止
 3号 第298条第1項各号(第325条において準用する場合を含む。)に掲げる事項
 4号 清算人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他清算株式会社の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備
4項 第353条から第357条まで、第360条及び第361条の規定は、清算人(同条の規定については、第478条第2項から第4項までの規定により裁判所が選任したものを除く。)について準用する。この場合において、第353条中「第349条第4項」とあるのは「第483条第6項において準用する第349条第4項」と、第354条中「代表取締役」とあるのは「代表清算人(第483条第1項に規定する代表清算人をいう。)」と、第360条第3項中「監査役設置会社又は委員会設置会社」とあるのは「監査役設置会社」と読み替えるものとする。
(清算株式会社の代表)
 483条
1項 清算人は、清算株式会社を代表する。ただし、他に代表清算人(清算株式会社を代表する清算人をいう。以下同じ。)その他清算株式会社を代表する者を定めた場合は、この限りでない。
2項 前項本文の清算人が2人以上ある場合には、清算人は、各自、清算株式会社を代表する。
3項 清算株式会社(清算人会設置会社を除く。)は、定款、定款の定めに基づく清算人(第478条第2項から第4項までの規定により裁判所が選任したものを除く。以下この項において同じ。)の互選又は株主総会の決議によって、清算人の中から代表清算人を定めることができる。
4項 第478条第1項第1号の規定により取締役が清算人となる場合において、代表取締役を定めていたときは、当該代表取締役が代表清算人となる。
5項 裁判所は、第478条第2項から第4項までの規定により清算人を選任する場合には、その清算人の中から代表清算人を定めることができる。
6項 第349条第4項及び第5項並びに第351条の規定は代表清算人について、第352条の規定は民事保全法第56条に規定する仮処分命令により選任された清算人又は代表清算人の職務を代行する者について、それぞれ準用する。
(清算株式会社についての破産手続の開始)
 484条
1項 清算株式会社の財産がその債務を完済するのに足りないことが明らかになったときは、清算人は、直ちに破産手続開始の申立てをしなければならない。
2項 清算人は、清算株式会社が破産手続開始の決定を受けた場合において、破産管財人にその事務を引き継いだときは、その任務を終了したものとする。
3項 前項に規定する場合において、清算株式会社が既に債権者に支払い、又は株主に分配したものがあるときは、破産管財人は、これを取り戻すことができる。
(裁判所の選任する清算人の報酬)
 485条
裁判所は、第478条第2項から第4項までの規定により清算人を選任した場合には、清算株式会社が当該清算人に対して支払う報酬の額を定めることができる。
(清算人の清算株式会社に対する損害賠償責任)
 486条
1項 清算人は、その任務を怠ったときは、清算株式会社に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
2項 清算人が第482条第4項において準用する第356条第1項の規定に違反して同項第1号の取引をしたときは、当該取引により清算人又は第三者が得た利益の額は、前項の損害の額と推定する。
3項 第482条第4項において準用する第356条第1項第2号又は第3号の取引によって清算株式会社に損害が生じたときは、次に掲げる清算人は、その任務を怠ったものと推定する。
 1号 第482条第4項において準用する第356条第1項の清算人
 2号 清算株式会社が当該取引をすることを決定した清算人
 3号 当該取引に関する清算人会の承認の決議に賛成した清算人
4項 第424条及び第428条第1項の規定は、清算人の第1項の責任について準用する。この場合において、同条第1項中「第356条第1項第2号(第419条第2項において準用する場合を含む。)」とあるのは、「第482条第4項において準用する第356条第1項第2号」と読み替えるものとする。
(清算人の第三者に対する損害賠償責任)
 487条
1項 清算人がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、当該清算人は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。
2項 清算人が、次に掲げる行為をしたときも、前項と同様とする。ただし、当該清算人が当該行為をすることについて注意を怠らなかったことを証明したときは、この限りでない。
 1号 株式、新株予約権、社債若しくは新株予約権付社債を引き受ける者の募集をする際に通知しなければならない重要な事項についての虚偽の通知又は当該募集のための当該清算株式会社の事業その他の事項に関する説明に用いた資料についての虚偽の記載若しくは記録
 2号 第492条第1項に規定する財産目録等並びに第494条第1項の貸借対照表及び事務報告並びにこれらの附属明細書に記載し、又は記録すべき重要な事項についての虚偽の記載又は記録
 3号 虚偽の登記
 4号 虚偽の公告
(清算人及び監査役の連帯責任)
 488条
1項 清算人又は監査役が清算株式会社又は第三者に生じた損害を賠償する責任を負う場合において、他の清算人又は監査役も当該損害を賠償する責任を負うときは、これらの者は、連帯債務者とする。
2項 前項の場合には、第430条の規定は、適用しない。
第4目 清算人会
(清算人会の権限等)
 489条
1項 清算人会は、すべての清算人で組織する。
2項 清算人会は、次に掲げる職務を行う。
 1号 清算人会設置会社の業務執行の決定
 2号 清算人の職務の執行の監督
 3号 代表清算人の選定及び解職
3項 清算人会は、清算人の中から代表清算人を選定しなければならない。ただし、他に代表清算人があるときは、この限りでない。
4項 清算人会は、その選定した代表清算人及び第483条第4項の規定により代表清算人となった者を解職することができる。
5項 第483条第5項の規定により裁判所が代表清算人を定めたときは、清算人会は、代表清算人を選定し、又は解職することができない。
6項 清算人会は、次に掲げる事項その他の重要な業務執行の決定を清算人に委任することができない。
 1号 重要な財産の処分及び譲受け
 2号 多額の借財
 3号 支配人その他の重要な使用人の選任及び解任
 4号 支店その他の重要な組織の設置、変更及び廃止
 5号 第676条第1号に掲げる事項その他の社債を引き受ける者の募集に関する重要な事項として法務省令で定める事項
 6号 清算人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他清算株式会社の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備
7項 次に掲げる清算人は、清算人会設置会社の業務を執行する。
 1号 代表清算人
 2号 代表清算人以外の清算人であって、清算人会の決議によって清算人会設置会社の業務を執行する清算人として選定されたもの
8項 第363条第2項、第364条及び第365条の規定は、清算人会設置会社について準用する。この場合において、第363条第2項中「前項各号」とあるのは「第489条第7項各号」と、「取締役は」とあるのは「清算人は」と、「取締役会」とあるのは「清算人会」と、第364条中「第353条」とあるのは「第482条第4項において準用する第353条」と、「取締役会は」とあるのは「清算人会は」と、第365条第1項中「第356条」とあるのは「第482条第4項において準用する第356条」と、「「取締役会」とあるのは「「清算人会」と、同条第2項中「第356条第1項各号」とあるのは「第482条第4項において準用する第356条第1項各号」と、「取締役は」とあるのは「清算人は」と、「取締役会に」とあるのは「清算人会に」と読み替えるものとする。
(清算人会の運営)
 490条
1項 清算人会は、各清算人が招集する。ただし、清算人会を招集する清算人を定款又は清算人会で定めたときは、その清算人が招集する。
2項 前項ただし書に規定する場合には、同項ただし書の規定により定められた清算人(以下この項において「招集権者」という。)以外の清算人は、招集権者に対し、清算人会の目的である事項を示して、清算人会の招集を請求することができる。
3項 前項の規定による請求があった日から5日以内に、その請求があった日から2週間以内の日を清算人会の日とする清算人会の招集の通知が発せられない場合には、その請求をした清算人は、清算人会を招集することができる。
4項 第367条及び第368条の規定は、清算人会設置会社における清算人会の招集について準用する。この場合において、第367条第1項中「監査役設置会社及び委員会設置会社」とあるのは「監査役設置会社」と、「取締役が」とあるのは「清算人が」と、同条第2項中「取締役(前条第1項ただし書に規定する場合にあっては、招集権者)」とあるのは「清算人(第490条第1項ただし書に規定する場合にあっては、同条第2項に規定する招集権者)」と、同条第3項及び第4項中「前条第3項」とあるのは「第490条第3項」と、第368条第1項中「各取締役」とあるのは「各清算人」と、同条第2項中「取締役(」とあるのは「清算人(」と、「取締役及び」とあるのは「清算人及び」と読み替えるものとする。
5項 第369条から第371条までの規定は、清算人会設置会社における清算人会の決議について準用する。この場合において、第369条第1項中「取締役の」とあるのは「清算人の」と、同条第2項中「取締役」とあるのは「清算人」と、同条第3項中「取締役及び」とあるのは「清算人及び」と、同条第五項中「取締役であって」とあるのは「清算人であって」と、第370条中「取締役が」とあるのは「清算人が」と、「取締役(」とあるのは「清算人(」と、第371条第3項中「監査役設置会社又は委員会設置会社」とあるのは「監査役設置会社」と、同条第四項中「役員又は執行役」とあるのは「清算人又は監査役」と読み替えるものとする。
6項 第372条第1項及び第2項の規定は、清算人会設置会社における清算人会への報告について準用する。この場合において、同条第1項中「取締役、会計参与、監査役又は会計監査人」とあるのは「清算人又は監査役」と、「取締役(」とあるのは「清算人(」と、「取締役及び」とあるのは「清算人及び」と、同条第2項中「第363条第2項」とあるのは「第489条第8項において準用する第363条第2項」と読み替えるものとする。
第5目 取締役等に関する規定の適用
 491条 清算株式会社については、第2章(第155条を除く。)、第3章、第4章第1節、第335条第2項、第343条第1項及び第2項、第345条第4項において準用する同条第3項、第359条、同章第7節及び第8節並びに第7章の規定中取締役、代表取締役、取締役会又は取締役会設置会社に関する規定は、それぞれ清算人、代表清算人、清算人会又は清算人会設置会社に関する規定として清算人、代表清算人、清算人会又は清算人会設置会社に適用があるものとする。
第3款 財産目録等
(財産目録等の作成等)
 492条
1項 清算人(清算人会設置会社にあっては、第489条第7項各号に掲げる清算人)は、その就任後遅滞なく、清算株式会社の財産の現況を調査し、法務省令で定めるところにより、第475条各号に掲げる場合に該当することとなった日における財産目録及び貸借対照表(以下この条及び次条において「財産目録等」という。)を作成しなければならない。
2項 清算人会設置会社においては、財産目録等は、清算人会の承認を受けなければならない。
3項 清算人は、財産目録等(前項の規定の適用がある場合にあっては、同項の承認を受けたもの)を株主総会に提出し、又は提供し、その承認を受けなければならない。
4項 清算株式会社は、財産目録等を作成した時からその本店の所在地における清算結了の登記の時までの間、当該財産目録等を保存しなければならない。
(財産目録等の提出命令)
 493条
裁判所は、申立てにより又は職権で、訴訟の当事者に対し、財産目録等の全部又は一部の提出を命ずることができる。
(貸借対照表等の作成及び保存)
 494条
1項 清算株式会社は、法務省令で定めるところにより、各清算事務年度(第475条各号に掲げる場合に該当することとなった日の翌日又はその後毎年その日に応当する日(応当する日がない場合にあっては、その前日)から始まる各1年の期間をいう。)に係る貸借対照表及び事務報告並びにこれらの附属明細書を作成しなければならない。
2項 前項の貸借対照表及び事務報告並びにこれらの附属明細書は、電磁的記録をもって作成することができる。
3項 清算株式会社は、第1項の貸借対照表を作成した時からその本店の所在地における清算結了の登記の時までの間、当該貸借対照表及びその附属明細書を保存しなければならない。
(貸借対照表等の監査等)
 495条
1項 監査役設置会社(監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある株式会社を含む。)においては、前条第1項の貸借対照表及び事務報告並びにこれらの附属明細書は、法務省令で定めるところにより、監査役の監査を受けなければならない。
2項 清算人会設置会社においては、前条第1項の貸借対照表及び事務報告並びにこれらの附属明細書(前項の規定の適用がある場合にあっては、同項の監査を受けたもの)は、清算人会の承認を受けなければならない。
(貸借対照表等の備置き及び閲覧等)
 496条
1項 清算株式会社は、第494条第1項に規定する各清算事務年度に係る貸借対照表及び事務報告並びにこれらの附属明細書(前条第1項の規定の適用がある場合にあっては、監査報告を含む。以下この条において「貸借対照表等」という。)を、定時株主総会の日の1週間前の日(第319条第1項の場合にあっては、同項の提案があった日)からその本店の所在地における清算結了の登記の時までの間、その本店に備え置かなければならない。
2項 株主及び債権者は、清算株式会社の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。ただし、第2号又は第4号に掲げる請求をするには、当該清算株式会社の定めた費用を支払わなければならない。
 1号 貸借対照表等が書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧の請求
 2号 前号の書面の謄本又は抄本の交付の請求
 3号 貸借対照表等が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧の請求
 4号 前号の電磁的記録に記録された事項を電磁的方法であって清算株式会社の定めたものにより提供することの請求又はその事項を記載した書面の交付の請求
3項 清算株式会社の親会社社員は、その権利を行使するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、当該清算株式会社の貸借対照表等について前項各号に掲げる請求をすることができる。ただし、同項第2号又は第4号に掲げる請求をするには、当該清算株式会社の定めた費用を支払わなければならない。
(貸借対照表等の定時株主総会への提出等)
 497条
1項 次の各号に掲げる清算株式会社においては、清算人は、当該各号に定める貸借対照表及び事務報告を定時株主総会に提出し、又は提供しなければならない。
 1号 第495条第1項に規定する監査役設置会社(清算人会設置会社を除く。) 同項の監査を受けた貸借対照表及び事務報告
 2号 清算人会設置会社 第495条第2項の承認を受けた貸借対照表及び事務報告
 3号 前2号に掲げるもの以外の清算株式会社 第494条第1項の貸借対照表及び事務報告
2項 前項の規定により提出され、又は提供された貸借対照表は、定時株主総会の承認を受けなければならない。
3項 清算人は、第1項の規定により提出され、又は提供された事務報告の内容を定時株主総会に報告しなければならない。
(貸借対照表等の提出命令)
 498条
裁判所は、申立てにより又は職権で、訴訟の当事者に対し、第494条第1項の貸借対照表及びその附属明細書の全部又は一部の提出を命ずることができる。
第4款 債務の弁済等
(債権者に対する公告等)
 499条
1項 清算株式会社は、第475条各号に掲げる場合に該当することとなった後、遅滞なく、当該清算株式会社の債権者に対し、一定の期間内にその債権を申し出るべき旨を官報に公告し、かつ、知れている債権者には、各別にこれを催告しなければならない。ただし、当該期間は、2箇月を下ることができない。
2項 前項の規定による公告には、当該債権者が当該期間内に申出をしないときは清算から除斥される旨を付記しなければならない。
(債務の弁済の制限)
 500条
1項 清算株式会社は、前条第1項の期間内は、債務の弁済をすることができない。この場合において、清算株式会社は、その債務の不履行によって生じた責任を免れることができない。
2項 前項の規定にかかわらず、清算株式会社は、前条第1項の期間内であっても、裁判所の許可を得て、少額の債権、清算株式会社の財産につき存する担保権によって担保される債権その他これを弁済しても他の債権者を害するおそれがない債権に係る債務について、その弁済をすることができる。この場合において、当該許可の申立ては、清算人が2人以上あるときは、その全員の同意によってしなければならない。
(条件付債権等に係る債務の弁済)
 501条
1項 清算株式会社は、条件付債権、存続期間が不確定な債権その他その額が不確定な債権に係る債務を弁済することができる。この場合においては、これらの債権を評価させるため、裁判所に対し、鑑定人の選任の申立てをしなければならない。
2項 前項の場合には、清算株式会社は、同項の鑑定人の評価に従い同項の債権に係る債務を弁済しなければならない。
3項 第1項の鑑定人の選任の手続に関する費用は、清算株式会社の負担とする。当該鑑定人による鑑定のための呼出し及び質問に関する費用についても、同様とする。
(債務の弁済前における残余財産の分配の制限)
 502条
清算株式会社は、当該清算株式会社の債務を弁済した後でなければ、その財産を株主に分配することができない。ただし、その存否又は額について争いのある債権に係る債務についてその弁済をするために必要と認められる財産を留保した場合は、この限りでない。
(清算からの除斥)
 503条
1項 清算株式会社の債権者(知れている債権者を除く。)であって第499条第1項の期間内にその債権の申出をしなかったものは、清算から除斥される。
2項 前項の規定により清算から除斥された債権者は、分配がされていない残余財産に対してのみ、弁済を請求することができる。
3項 清算株式会社の残余財産を株主の一部に分配した場合には、当該株主の受けた分配と同一の割合の分配を当該株主以外の株主に対してするために必要な財産は、前項の残余財産から控除する。
第5款 残余財産の分配
(残余財産の分配に関する事項の決定)
 504条
1項 清算株式会社は、残余財産の分配をしようとするときは、清算人の決定(清算人会設置会社にあっては、清算人会の決議)によって、次に掲げる事項を定めなければならない。
 1号 残余財産の種類
 2号 株主に対する残余財産の割当てに関する事項
2項 前項に規定する場合において、残余財産の分配について内容の異なる2以上の種類の株式を発行しているときは、清算株式会社は、当該種類の株式の内容に応じ、同項第2号に掲げる事項として、次に掲げる事項を定めることができる。
 1号 ある種類の株式の株主に対して残余財産の割当てをしないこととするときは、その旨及び当該株式の種類
 2号 前号に掲げる事項のほか、残余財産の割当てについて株式の種類ごとに異なる取扱いを行うこととするときは、その旨及び当該異なる取扱いの内容
3項 第1項第2号に掲げる事項についての定めは、株主(当該清算株式会社及び前項第1号の種類の株式の株主を除く。)の有する株式の数(前項第2号に掲げる事項についての定めがある場合にあっては、各種類の株式の数)に応じて残余財産を割り当てることを内容とするものでなければならない。
(残余財産が金銭以外の財産である場合)
 505条
1項 株主は、残余財産が金銭以外の財産であるときは、金銭分配請求権(当該残余財産に代えて金銭を交付することを清算株式会社に対して請求する権利をいう。以下この条において同じ。)を有する。この場合において、清算株式会社は、清算人の決定(清算人会設置会社にあっては、清算人会の決議)によって、次に掲げる事項を定めなければならない。
 1号 金銭分配請求権を行使することができる期間
 2号 一定の数未満の数の株式を有する株主に対して残余財産の割当てをしないこととするときは、その旨及びその数
2項 前項に規定する場合には、清算株式会社は、同項第1号の期間の末日の20日前までに、株主に対し、同号に掲げる事項を通知しなければならない。
3項 清算株式会社は、金銭分配請求権を行使した株主に対し、当該株主が割当てを受けた残余財産に代えて、当該残余財産の価額に相当する金銭を支払わなければならない。この場合においては、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める額をもって当該残余財産の価額とする。
 1号 当該残余財産が市場価格のある財産である場合 当該残余財産の市場価格として法務省令で定める方法により算定される額
 2号 前号に掲げる場合以外の場合 清算株式会社の申立てにより裁判所が定める額
(基準株式数を定めた場合の処理)
 506条
前条第1項第2号の数(以下この条において「基準株式数」という。)を定めた場合には、清算株式会社は、基準株式数に満たない数の株式(以下この条において「基準未満株式」という。)を有する株主に対し、前条第3項後段の規定の例により基準株式数の株式を有する株主が割当てを受けた残余財産の価額として定めた額に当該基準未満株式の数の基準株式数に対する割合を乗じて得た額に相当する金銭を支払わなければならない。
第6款 清算事務の終了等
 507条 1項 清算株式会社は、清算事務が終了したときは、遅滞なく、法務省令で定めるところにより、決算報告を作成しなければならない。
2項 清算人会設置会社においては、決算報告は、清算人会の承認を受けなければならない。
3項 清算人は、決算報告(前項の規定の適用がある場合にあっては、同項の承認を受けたもの)を株主総会に提出し、又は提供し、その承認を受けなければならない。
4項 前項の承認があったときは、任務を怠ったことによる清算人の損害賠償の責任は、免除されたものとみなす。ただし、清算人の職務の執行に関し不正の行為があったときは、この限りでない。
第7款 帳簿資料の保存
 508条 1項 清算人(清算人会設置会社にあっては、第489条第7項各号に掲げる清算人)は、清算株式会社の本店の所在地における清算結了の登記の時から10年間、清算株式会社の帳簿並びにその事業及び清算に関する重要な資料(以下この条において「帳簿資料」という。)を保存しなければならない。
2項 裁判所は、利害関係人の申立てにより、前項の清算人に代わって帳簿資料を保存する者を選任することができる。この場合においては、同項の規定は、適用しない。
3項 前項の規定により選任された者は、清算株式会社の本店の所在地における清算結了の登記の時から10年間、帳簿資料を保存しなければならない。
4項 第2項の規定による選任の手続に関する費用は、清算株式会社の負担とする。
第8款 適用除外等
 509条 1項 次に掲げる規定は、清算株式会社については、適用しない。
 1号 第155条
 2号 第5章第2節第2款(第435条第4項、第440条第3項、第442条及び第443条を除く。)及び第3款並びに第3節から第5節まで
 3号 第5編第4章並びに第5章中株式交換及び株式移転の手続に係る部分
2項 清算株式会社は、無償で取得する場合その他法務省令で定める場合に限り、当該清算株式会社の株式を取得することができる。
第2節 特別清算
第1款 特別清算の開始
(特別清算開始の原因)
 510条
1項 裁判所は、清算株式会社に次に掲げる事由があると認めるときは、第514条の規定に基づき、申立てにより、当該清算株式会社に対し特別清算の開始を命ずる。
 1号 清算の遂行に著しい支障を来すべき事情があること。
 2号 債務超過(清算株式会社の財産がその債務を完済するのに足りない状態をいう。次条第2項において同じ。)の疑いがあること。
(特別清算開始の申立て)
 511条
1項 債権者、清算人、監査役又は株主は、特別清算開始の申立てをすることができる。
2項 清算株式会社に債務超過の疑いがあるときは、清算人は、特別清算開始の申立てをしなければならない。
(他の手続の中止命令)
 512条
1項 裁判所は、特別清算開始の申立てがあった場合において、必要があると認めるときは、債権者、清算人、監査役若しくは株主の申立てにより又は職権で、特別清算開始の申立てにつき決定があるまでの間、次に掲げる手続の中止を命ずることができる。ただし、第1号に掲げる破産手続については破産手続開始の決定がされていない場合に限り、第2号に掲げる手続についてはその手続の申立人である債権者に不当な損害を及ぼすおそれがない場合に限る。
 1号 清算株式会社についての破産手続
 2号 清算株式会社の財産に対して既にされている強制執行、仮差押え又は仮処分の手続(一般の先取特権その他一般の優先権がある債権に基づくものを除く。)
2項 特別清算開始の申立てを却下する決定に対して第890条第5項の即時抗告がされたときも、前項と同様とする。
(特別清算開始の申立ての取下げの制限)
 513条
特別清算開始の申立てをした者は、特別清算開始の命令前に限り、当該申立てを取り下げることができる。この場合において、前条の規定による中止の命令、第540条第2項の規定による保全処分又は第541条第2項の規定による処分がされた後は、裁判所の許可を得なければならない。
(特別清算開始の命令)
 514条
1項 裁判所は、特別清算開始の申立てがあった場合において、特別清算開始の原因となる事由があると認めるときは、次のいずれかに該当する場合を除き、特別清算開始の命令をする。
 1号 特別清算の手続の費用の予納がないとき。
 2号 特別清算によっても清算を結了する見込みがないことが明らかであるとき。
 3号 特別清算によることが債権者の一般の利益に反することが明らかであるとき。
 4号 不当な目的で特別清算開始の申立てがされたとき、その他申立てが誠実にされたものでないとき。
(他の手続の中止等)
 515条
1項 特別清算開始の命令があったときは、破産手続開始の申立て、清算株式会社の財産に対する強制執行、仮差押え若しくは仮処分又は財産開示手続(民事執行法(昭和54年法律第4号)第197条第1項の申立てによるものに限る。以下この項において同じ。)の申立てはすることができず、破産手続(破産手続開始の決定がされていないものに限る。)、清算株式会社の財産に対して既にされている強制執行、仮差押え及び仮処分の手続並びに財産開示手続は中止する。ただし、一般の先取特権その他一般の優先権がある債権に基づく強制執行、仮差押え、仮処分又は財産開示手続については、この限りでない。
2項 特別清算開始の命令が確定したときは、前項の規定により中止した手続は、特別清算の手続の関係においては、その効力を失う。
3項 特別清算開始の命令があったときは、清算株式会社の債権者の債権(一般の先取特権その他一般の優先権がある債権、特別清算の手続のために清算株式会社に対して生じた債権及び特別清算の手続に関する清算株式会社に対する費用請求権を除く。以下この節において「協定債権」という。)については、第938条第1項第2号又は第3号に規定する特別清算開始の取消しの登記又は特別清算終結の登記の日から2箇月を経過する日までの間は、時効は、完成しない。
(担保権の実行の手続等の中止命令)
 516条
裁判所は、特別清算開始の命令があった場合において、債権者の一般の利益に適合し、かつ、担保権の実行の手続等(清算株式会社の財産につき存する担保権の実行の手続、企業担保権の実行の手続又は清算株式会社の財産に対して既にされている一般の先取特権その他一般の優先権がある債権に基づく強制執行の手続をいう。以下この条において同じ。)の申立人に不当な損害を及ぼすおそれがないものと認めるときは、清算人、監査役、債権者若しくは株主の申立てにより又は職権で、相当の期間を定めて、担保権の実行の手続等の中止を命ずることができる。
(相殺の禁止)
 517条
1項 協定債権を有する債権者(以下この節において「協定債権者」という。)は、次に掲げる場合には、相殺をすることができない。
 1号 特別清算開始後に清算株式会社に対して債務を負担したとき。
 2号 支払不能(清算株式会社が、支払能力を欠くために、その債務のうち弁済期にあるものにつき、一般的かつ継続的に弁済することができない状態をいう。以下この款において同じ。)になった後に契約によって負担する債務を専ら協定債権をもってする相殺に供する目的で清算株式会社の財産の処分を内容とする契約を清算株式会社との間で締結し、又は清算株式会社に対して債務を負担する者の債務を引き受けることを内容とする契約を締結することにより清算株式会社に対して債務を負担した場合であって、当該契約の締結の当時、支払不能であったことを知っていたとき。
 3号 支払の停止があった後に清算株式会社に対して債務を負担した場合であって、その負担の当時、支払の停止があったことを知っていたとき。ただし、当該支払の停止があった時において支払不能でなかったときは、この限りでない。
 4号 特別清算開始の申立てがあった後に清算株式会社に対して債務を負担した場合であって、その負担の当時、特別清算開始の申立てがあったことを知っていたとき。
2項 前項第2号から第4号までの規定は、これらの規定に規定する債務の負担が次に掲げる原因のいずれかに基づく場合には、適用しない。
 1号 法定の原因
 2号 支払不能であったこと又は支払の停止若しくは特別清算開始の申立てがあったことを協定債権者が知った時より前に生じた原因
 3号 特別清算開始の申立てがあった時より1年以上前に生じた原因
 518条 1項 清算株式会社に対して債務を負担する者は、次に掲げる場合には、相殺をすることができない。
 1号 特別清算開始後に他人の協定債権を取得したとき。
 2号 支払不能になった後に協定債権を取得した場合であって、その取得の当時、支払不能であったことを知っていたとき。
 3号 支払の停止があった後に協定債権を取得した場合であって、その取得の当時、支払の停止があったことを知っていたとき。ただし、当該支払の停止があった時において支払不能でなかったときは、この限りでない。
 4号 特別清算開始の申立てがあった後に協定債権を取得した場合であって、その取得の当時、特別清算開始の申立てがあったことを知っていたとき。
2項 前項第2号から第4号までの規定は、これらの規定に規定する協定債権の取得が次に掲げる原因のいずれかに基づく場合には、適用しない。
 1号 法定の原因
 2号 支払不能であったこと又は支払の停止若しくは特別清算開始の申立てがあったことを清算株式会社に対して債務を負担する者が知った時より前に生じた原因
 3号 特別清算開始の申立てがあった時より1年以上前に生じた原因
 4号 清算株式会社に対して債務を負担する者と清算株式会社との間の契約
第2款 裁判所による監督及び調査
(裁判所による監督)
 519条
1項 特別清算開始の命令があったときは、清算株式会社の清算は、裁判所の監督に属する。
2項 裁判所は、必要があると認めるときは、清算株式会社の業務を監督する官庁に対し、当該清算株式会社の特別清算の手続について意見の陳述を求め、又は調査を嘱託することができる。
3項 前項の官庁は、裁判所に対し、当該清算株式会社の特別清算の手続について意見を述べることができる。
(裁判所による調査)
 520条
裁判所は、いつでも、清算株式会社に対し、清算事務及び財産の状況の報告を命じ、その他清算の監督上必要な調査をすることができる。
(裁判所への財産目録等の提出)
 521条
特別清算開始の命令があった場合には、清算株式会社は、第492条第3項の承認があった後遅滞なく、財産目録等(同項に規定する財産目録等をいう。以下この条において同じ。)を裁判所に提出しなければならない。ただし、財産目録等が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を記載した書面を裁判所に提出しなければならない。
(調査命令)
 522条
1項 裁判所は、特別清算開始後において、清算株式会社の財産の状況を考慮して必要があると認めるときは、清算人、監査役、債権の申出をした債権者その他清算株式会社に知れている債権者の債権の総額の10分の1以上に当たる債権を有する債権者若しくは総株主(株主総会において決議をすることができる事項の全部につき議決権を行使することができない株主を除く。)の議決権の100分の3(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権を6箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する株主若しくは発行済株式(自己株式を除く。)の100分の3(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の数の株式を6箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する株主の申立てにより又は職権で、次に掲げる事項について、調査委員による調査を命ずる処分(第533条において「調査命令」という。)をすることができる。
 1号 特別清算開始に至った事情
 2号 清算株式会社の業務及び財産の状況
 3号 第540条第1項の規定による保全処分をする必要があるかどうか。
 4号 第542条第1項の規定による保全処分をする必要があるかどうか。
 5号 第545条第1項に規定する役員等責任査定決定をする必要があるかどうか。
 6号 その他特別清算に必要な事項で裁判所の指定するもの
2項 清算株式会社の財産につき担保権(特別の先取特権、質権、抵当権又はこの法律若しくは商法の規定による留置権に限る。)を有する債権者がその担保権の行使によって弁済を受けることができる債権の額は、前項の債権の額に算入しない。
3項 公開会社でない清算株式会社における第1項の規定の適用については、同項中「6箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する」とあるのは、「有する」とする。
第3款 清算人
(清算人の公平誠実義務)
 523条
特別清算が開始された場合には、清算人は、債権者、清算株式会社及び株主に対し、公平かつ誠実に清算事務を行う義務を負う。
(清算人の解任等)
 524条
1項 裁判所は、清算人が清算事務を適切に行っていないとき、その他重要な事由があるときは、債権者若しくは株主の申立てにより又は職権で、清算人を解任することができる。
2項 清算人が欠けたときは、裁判所は、清算人を選任する。
3項 清算人がある場合においても、裁判所は、必要があると認めるときは、更に清算人を選任することができる。
(清算人代理)
 525条
1項 清算人は、必要があるときは、その職務を行わせるため、自己の責任で1人又は2人以上の清算人代理を選任することができる。
2項 前項の清算人代理の選任については、裁判所の許可を得なければならない。
(清算人の報酬等)
 526条
1項 清算人は、費用の前払及び裁判所が定める報酬を受けることができる。
2項 前項の規定は、清算人代理について準用する。
第4款 監督委員
(監督委員の選任等)
 527条
1項 裁判所は、1人又は2人以上の監督委員を選任し、当該監督委員に対し、第535条第1項の許可に代わる同意をする権限を付与することができる。
2項 法人は、監督委員となることができる。
(監督委員に対する監督等)
 528条
1項 監督委員は、裁判所が監督する。
2項 裁判所は、監督委員が清算株式会社の業務及び財産の管理の監督を適切に行っていないとき、その他重要な事由があるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、監督委員を解任することができる。
(2人以上の監督委員の職務執行)
 529条
監督委員が2人以上あるときは、共同してその職務を行う。ただし、裁判所の許可を得て、それぞれ単独にその職務を行い、又は職務を分掌することができる。
(監督委員による調査等)
 530条
1項 監督委員は、いつでも、清算株式会社の清算人及び監査役並びに支配人その他の使用人に対し、事業の報告を求め、又は清算株式会社の業務及び財産の状況を調査することができる。
2項 監督委員は、その職務を行うため必要があるときは、清算株式会社の子会社に対し、事業の報告を求め、又はその子会社の業務及び財産の状況を調査することができる。
(監督委員の注意義務)
 531条
1項 監督委員は、善良な管理者の注意をもって、その職務を行わなければならない。
2項 監督委員が前項の注意を怠ったときは、その監督委員は、利害関係人に対し、連帯して損害を賠償する責任を負う。
(監督委員の報酬等)
 532条
1項 監督委員は、費用の前払及び裁判所が定める報酬を受けることができる。
2項 監督委員は、その選任後、清算株式会社に対する債権又は清算株式会社の株式を譲り受け、又は譲り渡すには、裁判所の許可を得なければならない。
3項 監督委員は、前項の許可を得ないで同項に規定する行為をしたときは、費用及び報酬の支払を受けることができない。
第5款 調査委員
(調査委員の選任等)
 533条
裁判所は、調査命令をする場合には、当該調査命令において、1人又は2人以上の調査委員を選任し、調査委員が調査すべき事項及び裁判所に対して調査の結果の報告をすべき期間を定めなければならない。
(監督委員に関する規定の準用)
 534条
前款(第527条第1項及び第529条ただし書を除く。)の規定は、調査委員について準用する。
第6款 清算株式会社の行為の制限等
(清算株式会社の行為の制限)
 535条
1項 特別清算開始の命令があった場合には、清算株式会社が次に掲げる行為をするには、裁判所の許可を得なければならない。ただし、第527条第1項の規定により監督委員が選任されているときは、これに代わる監督委員の同意を得なければならない。
 1号 財産の処分(次条第1項各号に掲げる行為を除く。)
 2号 借財
 3号 訴えの提起
 4号 和解又は仲裁合意(仲裁法(平成15年法律第138号)第2条第1項に規定する仲裁合意をいう。)
 5号 権利の放棄
 6号 その他裁判所の指定する行為
2項 前項の規定にかかわらず、同項第1号から第5号までに掲げる行為については、次に掲げる場合には、同項の許可を要しない。
 1号 最高裁判所規則で定める額以下の価額を有するものに関するとき。
 2号 前号に掲げるもののほか、裁判所が前項の許可を要しないものとしたものに関するとき。
3項 第1項の許可又はこれに代わる監督委員の同意を得ないでした行為は、無効とする。ただし、これをもって善意の第三者に対抗することができない。
(事業の譲渡の制限等)
 536条
1項 特別清算開始の命令があった場合には、清算株式会社が次に掲げる行為をするには、裁判所の許可を得なければならない。
 1号 事業の全部の譲渡
 2号 事業の重要な一部の譲渡(当該譲渡により譲り渡す資産の帳簿価額が当該清算株式会社の総資産額として法務省令で定める方法により算定される額の5分の1(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)を超えないものを除く。)
2項 前条第3項の規定は、前項の許可を得ないでした行為について準用する。
3項 第7章(第467条第1項第5号を除く。)の規定は、特別清算の場合には、適用しない。
(債務の弁済の制限)
 537条
1項 特別清算開始の命令があった場合には、清算株式会社は、協定債権者に対して、その債権額の割合に応じて弁済をしなければならない。
2項 前項の規定にかかわらず、清算株式会社は、裁判所の許可を得て、少額の協定債権、清算株式会社の財産につき存する担保権によって担保される協定債権その他これを弁済しても他の債権者を害するおそれがない協定債権に係る債務について、債権額の割合を超えて弁済をすることができる。
(換価の方法)
 538条
1項 清算株式会社は、民事執行法その他強制執行の手続に関する法令の規定により、その財産の換価をすることができる。この場合においては、第535条第1項第1号の規定は、適用しない。
2項 清算株式会社は、民事執行法その他強制執行の手続に関する法令の規定により、第522条第2項に規定する担保権(以下この条及び次条において単に「担保権」という。)の目的である財産の換価をすることができる。この場合においては、当該担保権を有する者(以下この条及び次条において「担保権者」という。)は、その換価を拒むことができない。
3項 前2項の場合には、民事執行法第63条及び第129条(これらの規定を同法その他強制執行の手続に関する法令において準用する場合を含む。)の規定は、適用しない。
4項 第2項の場合において、担保権者が受けるべき金額がまだ確定していないときは、清算株式会社は、代金を別に寄託しなければならない。この場合においては、担保権は、寄託された代金につき存する。
(担保権者が処分をすべき期間の指定)
 539条
1項 担保権者が法律に定められた方法によらないで担保権の目的である財産の処分をする権利を有するときは、裁判所は、清算株式会社の申立てにより、担保権者がその処分をすべき期間を定めることができる。
2項 担保権者は、前項の期間内に処分をしないときは、同項の権利を失う。
第7款 清算の監督上必要な処分等
(清算株式会社の財産に関する保全処分)
 540条
1項 裁判所は、特別清算開始の命令があった場合において、清算の監督上必要があると認めるときは、債権者、清算人、監査役若しくは株主の申立てにより又は職権で、清算株式会社の財産に関し、その財産の処分禁止の仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができる。
2項 裁判所は、特別清算開始の申立てがあった時から当該申立てについての決定があるまでの間においても、必要があると認めるときは、債権者、清算人、監査役若しくは株主の申立てにより又は職権で、前項の規定による保全処分をすることができる。特別清算開始の申立てを却下する決定に対して第890条第5項の即時抗告がされたときも、同様とする。
3項 裁判所が前2項の規定により清算株式会社が債権者に対して弁済その他の債務を消滅させる行為をすることを禁止する旨の保全処分を命じた場合には、債権者は、特別清算の関係においては、当該保全処分に反してされた弁済その他の債務を消滅させる行為の効力を主張することができない。ただし、債権者が、その行為の当時、当該保全処分がされたことを知っていたときに限る。
(株主名簿の記載等の禁止)
 541条
1項 裁判所は、特別清算開始の命令があった場合において、清算の監督上必要があると認めるときは、債権者、清算人、監査役若しくは株主の申立てにより又は職権で、清算株式会社が株主名簿記載事項を株主名簿に記載し、又は記録することを禁止することができる。
2項 裁判所は、特別清算開始の申立てがあった時から当該申立てについての決定があるまでの間においても、必要があると認めるときは、債権者、清算人、監査役若しくは株主の申立てにより又は職権で、前項の規定による処分をすることができる。特別清算開始の申立てを却下する決定に対して第890条第5項の即時抗告がされたときも、同様とする。
(役員等の財産に対する保全処分)
 542条
1項 裁判所は、特別清算開始の命令があった場合において、清算の監督上必要があると認めるときは、清算株式会社の申立てにより又は職権で、発起人、設立時取締役、設立時監査役、第423条第1項に規定する役員等又は清算人(以下この款において「対象役員等」という。)の責任に基づく損害賠償請求権につき、当該対象役員等の財産に対する保全処分をすることができる。
2項 裁判所は、特別清算開始の申立てがあった時から当該申立てについての決定があるまでの間においても、緊急の必要があると認めるときは、清算株式会社の申立てにより又は職権で、前項の規定による保全処分をすることができる。特別清算開始の申立てを却下する決定に対して第890条第5項の即時抗告がされたときも、同様とする。
(役員等の責任の免除の禁止)
 543条
裁判所は、特別清算開始の命令があった場合において、清算の監督上必要があると認めるときは、債権者、清算人、監査役若しくは株主の申立てにより又は職権で、対象役員等の責任の免除の禁止の処分をすることができる。
(役員等の責任の免除の取消し)
 544条
1項 特別清算開始の命令があったときは、清算株式会社は、特別清算開始の申立てがあった後又はその前1年以内にした対象役員等の責任の免除を取り消すことができる。不正の目的によってした対象役員等の責任の免除についても、同様とする。
2項 前項の規定による取消権は、訴え又は抗弁によって、行使する。
3項 第1項の規定による取消権は、特別清算開始の命令があった日から2年を経過したときは、行使することができない。当該対象役員等の責任の免除の日から20年を経過したときも、同様とする。
(役員等責任査定決定)
 545条
1項 裁判所は、特別清算開始の命令があった場合において、必要があると認めるときは、清算株式会社の申立てにより又は職権で、対象役員等の責任に基づく損害賠償請求権の査定の裁判(以下この条において「役員等責任査定決定」という。)をすることができる。
2項 裁判所は、職権で役員等責任査定決定の手続を開始する場合には、その旨の決定をしなければならない。
3項 第1項の申立て又は前項の決定があったときは、時効の中断に関しては、裁判上の請求があったものとみなす。
4項 役員等責任査定決定の手続(役員等責任査定決定があった後のものを除く。)は、特別清算が終了したときは、終了する。
第8款 債権者集会
(債権者集会の招集)
 546条
1項 債権者集会は、特別清算の実行上必要がある場合には、いつでも、招集することができる。
2項 債権者集会は、次条第3項の規定により招集する場合を除き、清算株式会社が招集する。
(債権者による招集の請求)
 547条
1項 債権の申出をした協定債権者その他清算株式会社に知れている協定債権者の協定債権の総額の10分の1以上に当たる協定債権を有する協定債権者は、清算株式会社に対し、債権者集会の目的である事項及び招集の理由を示して、債権者集会の招集を請求することができる。
2項 清算株式会社の財産につき第522条第2項に規定する担保権を有する協定債権者がその担保権の行使によって弁済を受けることができる協定債権の額は、前項の協定債権の額に算入しない。
3項 次に掲げる場合には、第1項の規定による請求をした協定債権者は、裁判所の許可を得て、債権者集会を招集することができる。
 1号 第1項の規定による請求の後遅滞なく招集の手続が行われない場合
 2号 第1項の規定による請求があった日から6週間以内の日を債権者集会の日とする債権者集会の招集の通知が発せられない場合
(債権者集会の招集等の決定)
 548条
1項 債権者集会を招集する者(以下この款において「招集者」という。)は、債権者集会を招集する場合には、次に掲げる事項を定めなければならない。
 1号 債権者集会の日時及び場所
 2号 債権者集会の目的である事項
 3号 債権者集会に出席しない協定債権者が電磁的方法によって議決権を行使することができることとするときは、その旨
 4号 前3号に掲げるもののほか、法務省令で定める事項
2項 清算株式会社が債権者集会を招集する場合には、当該清算株式会社は、各協定債権について債権者集会における議決権の行使の許否及びその額を定めなければならない。
3項 清算株式会社以外の者が債権者集会を招集する場合には、その招集者は、清算株式会社に対し、前項に規定する事項を定めることを請求しなければならない。この場合において、その請求があったときは、清算株式会社は、同項に規定する事項を定めなければならない。
4項 清算株式会社の財産につき第522条第2項に規定する担保権を有する協定債権者は、その担保権の行使によって弁済を受けることができる協定債権の額については、議決権を有しない。
(債権者集会の招集の通知)
 549条
1項 債権者集会を招集するには、招集者は、債権者集会の日の2週間前までに、債権の申出をした協定債権者その他清算株式会社に知れている協定債権者及び清算株式会社に対して、書面をもってその通知を発しなければならない。
2項 招集者は、前項の書面による通知の発出に代えて、政令で定めるところにより、同項の通知を受けるべき者の承諾を得て、電磁的方法により通知を発することができる。この場合において、当該招集者は、同項の書面による通知を発したものとみなす。
3項 前2項の通知には、前条第1項各号に掲げる事項を記載し、又は記録しなければならない。
4項 前3項の規定は、債権の申出をした債権者その他清算株式会社に知れている債権者であって一般の先取特権その他一般の優先権がある債権、特別清算の手続のために清算株式会社に対して生じた債権又は特別清算の手続に関する清算株式会社に対する費用請求権を有するものについて準用する。
(債権者集会参考書類及び議決権行使書面の交付等)
 550条
1項 招集者は、前条第1項の通知に際しては、法務省令で定めるところにより、債権の申出をした協定債権者その他清算株式会社に知れている協定債権者に対し、当該協定債権者が有する協定債権について第548条第2項又は第3項の規定により定められた事項及び議決権の行使について参考となるべき事項を記載した書類(次項において「債権者集会参考書類」という。)並びに協定債権者が議決権を行使するための書面(以下この款において「議決権行使書面」という。)を交付しなければならない。
2項 招集者は、前条第2項の承諾をした協定債権者に対し同項の電磁的方法による通知を発するときは、前項の規定による債権者集会参考書類及び議決権行使書面の交付に代えて、これらの書類に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができる。ただし、協定債権者の請求があったときは、これらの書類を当該協定債権者に交付しなければならない。
 551条 1項 招集者は、第548条第1項第3号に掲げる事項を定めた場合には、第549条第2項の承諾をした協定債権者に対する電磁的方法による通知に際して、法務省令で定めるところにより、協定債権者に対し、議決権行使書面に記載すべき事項を当該電磁的方法により提供しなければならない。
2項 招集者は、第548条第1項第3号に掲げる事項を定めた場合において、第549条第2項の承諾をしていない協定債権者から債権者集会の日の1週間前までに議決権行使書面に記載すべき事項の電磁的方法による提供の請求があったときは、法務省令で定めるところにより、直ちに、当該協定債権者に対し、当該事項を電磁的方法により提供しなければならない。
(債権者集会の指揮等)
 552条
1項 債権者集会は、裁判所が指揮する。
2項 債権者集会を招集しようとするときは、招集者は、あらかじめ、第548条第1項各号に掲げる事項及び同条第2項又は第3項の規定により定められた事項を裁判所に届け出なければならない。
(異議を述べられた議決権の取扱い)
 553条
債権者集会において、第548条第2項又は第3項の規定により各協定債権について定められた事項について、当該協定債権を有する者又は他の協定債権者が異議を述べたときは、裁判所がこれを定める。
(債権者集会の決議)
 554条
1項 債権者集会において決議をする事項を可決するには、次に掲げる同意のいずれもがなければならない。
 1号 出席した議決権者(議決権を行使することができる協定債権者をいう。以下この款及び次款において同じ。)の過半数の同意
 2号 出席した議決権者の議決権の総額の2分の1を超える議決権を有する者の同意
2項 第558条第1項の規定によりその有する議決権の一部のみを前項の事項に同意するものとして行使した議決権者(その余の議決権を行使しなかったものを除く。)があるときの同項第1号の規定の適用については、当該議決権者1人につき、出席した議決権者の数に1を、同意をした議決権者の数に2分の1を、それぞれ加算するものとする。
3項 債権者集会は、第548条第1項第2号に掲げる事項以外の事項については、決議をすることができない。
(議決権の代理行使)
 555条
1項 協定債権者は、代理人によってその議決権を行使することができる。この場合においては、当該協定債権者又は代理人は、代理権を証明する書面を招集者に提出しなければならない。
2項 前項の代理権の授与は、債権者集会ごとにしなければならない。
3項 第1項の協定債権者又は代理人は、代理権を証明する書面の提出に代えて、政令で定めるところにより、招集者の承諾を得て、当該書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができる。この場合において、当該協定債権者又は代理人は、当該書面を提出したものとみなす。
4項 協定債権者が第549条第2項の承諾をした者である場合には、招集者は、正当な理由がなければ、前項の承諾をすることを拒んではならない。
(書面による議決権の行使)
 556条
1項 債権者集会に出席しない協定債権者は、書面によって議決権を行使することができる。
2項 書面による議決権の行使は、議決権行使書面に必要な事項を記載し、法務省令で定める時までに当該記載をした議決権行使書面を招集者に提出して行う。
3項 前項の規定により書面によって議決権を行使した議決権者は、第554条第1項及び第567条第1項の規定の適用については、債権者集会に出席したものとみなす。
(電磁的方法による議決権の行使)
 557条
1項 電磁的方法による議決権の行使は、政令で定めるところにより、招集者の承諾を得て、法務省令で定める時までに議決権行使書面に記載すべき事項を、電磁的方法により当該招集者に提供して行う。
2項 協定債権者が第549条第2項の承諾をした者である場合には、招集者は、正当な理由がなければ、前項の承諾をすることを拒んではならない。
3項 第1項の規定により電磁的方法によって議決権を行使した議決権者は、第554条第1項及び第567条第1項の規定の適用については、債権者集会に出席したものとみなす。
(議決権の不統一行使)
 558条
1項 協定債権者は、その有する議決権を統一しないで行使することができる。この場合においては、債権者集会の日の3日前までに、招集者に対してその旨及びその理由を通知しなければならない。
2項 招集者は、前項の協定債権者が他人のために協定債権を有する者でないときは、当該協定債権者が同項の規定によりその有する議決権を統一しないで行使することを拒むことができる。
(担保権を有する債権者等の出席等)
 559条
1項 債権者集会又は招集者は、次に掲げる債権者の出席を求め、その意見を聴くことができる。この場合において、債権者集会にあっては、これをする旨の決議を経なければならない。
 1号 第522条第2項に規定する担保権を有する債権者
 2号 一般の先取特権その他一般の優先権がある債権、特別清算の手続のために清算株式会社に対して生じた債権又は特別清算の手続に関する清算株式会社に対する費用請求権を有する債権者
(延期又は続行の決議)
 560条
債権者集会においてその延期又は続行について決議があった場合には、第548条(第四項を除く。)及び第549条の規定は、適用しない。
(議事録)
 561条
債権者集会の議事については、招集者は、法務省令で定めるところにより、議事録を作成しなければならない。
(清算人の調査結果等の債権者集会に対する報告)
 562条
特別清算開始の命令があった場合において、第492条第1項に規定する清算人が清算株式会社の財産の現況についての調査を終了して財産目録等(同項に規定する財産目録等をいう。以下この条において同じ。)を作成したときは、清算株式会社は、遅滞なく、債権者集会を招集し、当該債権者集会に対して、清算株式会社の業務及び財産の状況の調査の結果並びに財産目録等の要旨を報告するとともに、清算の実行の方針及び見込みに関して意見を述べなければならない。ただし、債権者集会に対する報告及び意見の陳述以外の方法によりその報告すべき事項及び当該意見の内容を債権者に周知させることが適当であると認めるときは、この限りでない。
第9款 協定
(協定の申出)
 563条
清算株式会社は、債権者集会に対し、協定の申出をすることができる。
(協定の条項)
 564条
1項 協定においては、協定債権者の権利(第522条第2項に規定する担保権を除く。)の全部又は一部の変更に関する条項を定めなければならない。
2項 協定債権者の権利の全部又は一部を変更する条項においては、債務の減免、期限の猶予その他の権利の変更の一般的基準を定めなければならない。
(協定による権利の変更)
 565条
協定による権利の変更の内容は、協定債権者の間では平等でなければならない。ただし、不利益を受ける協定債権者の同意がある場合又は少額の協定債権について別段の定めをしても衡平を害しない場合その他協定債権者の間に差を設けても衡平を害しない場合は、この限りでない。
(担保権を有する債権者等の参加)
 566条
1項 清算株式会社は、協定案の作成に当たり必要があると認めるときは、次に掲げる債権者の参加を求めることができる。
 1号 第522条第2項に規定する担保権を有する債権者
 2号 一般の先取特権その他一般の優先権がある債権を有する債権者
(協定の可決の要件)
 567条
1項 第554条第1項の規定にかかわらず、債権者集会において協定を可決するには、次に掲げる同意のいずれもがなければならない。
 1号 出席した議決権者の過半数の同意
 2号 議決権者の議決権の総額の3分の2以上の議決権を有する者の同意
2項 第554条第2項の規定は、前項第1号の規定の適用について準用する。
(協定の認可の申立て)
 568条
協定が可決されたときは、清算株式会社は、遅滞なく、裁判所に対し、協定の認可の申立てをしなければならない。
(協定の認可又は不認可の決定)
 569条
1項 前条の申立てがあった場合には、裁判所は、次項の場合を除き、協定の認可の決定をする。
2項 裁判所は、次のいずれかに該当する場合には、協定の不認可の決定をする。
 1号 特別清算の手続又は協定が法律の規定に違反し、かつ、その不備を補正することができないものであるとき。ただし、特別清算の手続が法律の規定に違反する場合において、当該違反の程度が軽微であるときは、この限りでない。
 2号 協定が遂行される見込みがないとき。
 3号 協定が不正の方法によって成立するに至ったとき。
 4号 協定が債権者の一般の利益に反するとき。
(協定の効力発生の時期)
 570条
協定は、認可の決定の確定により、その効力を生ずる。
(協定の効力範囲)
 571条
1項 協定は、清算株式会社及びすべての協定債権者のために、かつ、それらの者に対して効力を有する。
2項 協定は、第522条第2項に規定する債権者が有する同項に規定する担保権、協定債権者が清算株式会社の保証人その他清算株式会社と共に債務を負担する者に対して有する権利及び清算株式会社以外の者が協定債権者のために提供した担保に影響を及ぼさない。
(協定の内容の変更)
 572条
協定の実行上必要があるときは、協定の内容を変更することができる。この場合においては、第563条から前条までの規定を準用する。
第10款 特別清算の終了
(特別清算終結の決定)
 573条
1項 裁判所は、特別清算開始後、次に掲げる場合には、清算人、監査役、債権者、株主又は調査委員の申立てにより、特別清算終結の決定をする。
 1号 特別清算が結了したとき。
 2号 特別清算の必要がなくなったとき。
(破産手続開始の決定)
 574条
1項 裁判所は、特別清算開始後、次に掲げる場合において、清算株式会社に破産手続開始の原因となる事実があると認めるときは、職権で、破産法に従い、破産手続開始の決定をしなければならない。
 1号 協定の見込みがないとき。
 2号 協定の実行の見込みがないとき。
 3号 特別清算によることが債権者の一般の利益に反するとき。
2項 裁判所は、特別清算開始後、次に掲げる場合において、清算株式会社に破産手続開始の原因となる事実があると認めるときは、職権で、破産法に従い、破産手続開始の決定をすることができる。
 1号 協定が否決されたとき。
 2号 協定の不認可の決定が確定したとき。
3項 前2項の規定により破産手続開始の決定があった場合における破産法第71条第1項第4号並びに第2項第2号及び第3号、第72条第1項第4号並びに第2項第2号及び第3号、第160条(第1項第1号を除く。)、第162条(第1項第2号を除く。)、第163条第2項、第164条第1項(同条第2項において準用する場合を含む。)、第166条並びに第167条第2項(同法第170条第2項において準用する場合を含む。)の規定の適用については、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める申立てがあった時に破産手続開始の申立てがあったものとみなす。
 1号 特別清算開始の申立ての前に特別清算開始の命令の確定によって効力を失った破産手続における破産手続開始の申立てがある場合 当該破産手続開始の申立て
 2号 前号に掲げる場合以外の場合 特別清算開始の申立て
4項 第1項又は第2項の規定により破産手続開始の決定があったときは、特別清算の手続のために清算株式会社に対して生じた債権及び特別清算の手続に関する清算株式会社に対する費用請求権は、財団債権とする。
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